研究課題/領域番号 |
16208019
|
研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
長崎 慶三 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所赤潮環境部, 室長 (00222175)
|
研究分担者 |
外丸 裕司 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所赤潮環境部, 研究員 (10416042)
山口 峰生 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所赤潮環境部, 室長 (00371956)
板倉 茂 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所赤潮環境部, 室長 (10371957)
|
キーワード | ウイルス / 赤潮 / 珪藻 / ゲノム / 1本鎖RNA / 環状1本鎖DNA / プランクトン / 殺藻微生物 |
研究概要 |
本課題は、珪藻類に感染する環境常在性ウイルスについて生理・生態・分子生物学的知見を集積し、ノリ養殖に対して甚大な色落ち被害をもたらす珪藻赤潮を量的・質的に制御するための技術開発に資する。今年度はとくに、珪藻感染性ウイルスの遺伝情報に焦点を当てた研究を実施した。その結果、環状1本鎖(部分的に2本鎖)DNAゲノムを持つキートケロス・サルスギネウム感染性ウイルスCsNIVのゲノムにみられたサーコウイルスの複製酵素遺伝子に対して低い相同性を示す遺伝子は、キートケロス・デビリスを宿主とする1本鎖DNAウイルスCdDNAVの部分配列から予測されるアミノ酸配列ときわめて高い相同性を示すことが明らかとなった。また、リゾソレニア・セティゲラを宿主とする1本鎖RNAウイルスRsRNAVとキートケロス・ネオグラシリスを宿主とする1本鎖RNAウイルスCnRNAVのヘリカーゼドメインのアミノ酸配列間でもきわめて高い相同性が推定された。また、部分的解読の結果、CnRNAVゲノム上では、カプシドポリプロテイン遺伝子が複製酵素ポリプロテイン遺伝子よりも上流側にあるものと予測された。これは、既知のストラメノパイルズ生物群を宿主とするウイルスSssRNAVおよびRsRNAVとは逆の配置である。CnRNAVの塩基配列から推定される複製酵素群ならびにカプシドタンパク質群のアミノ酸配列は、ストラメノパイルズ生物群を宿主とするウイルスRsRNAV,SssRNAV,HaRNAV等のほか、昆虫類を宿主とする1本鎖RNAウイルスにも顕著な相同性を示した。今後のさらなる遺伝学的解析により、ウイルスと宿主の共進化の解明が期待される。
|