研究概要 |
苗の生産コストの削減には密植が有効である。しかし,過度の密植は苗の品質低下を招く。ゆえに,最適な栽植密度を求めることは重要だが,環境変動が大きい温室や露地では困難である。また,温室や露地では,密植に適した環境制御も難しい。そこで,本研究では,精確な環境制御が可能な閉鎖型苗生産システムを用いて高栽植密度育苗を行い,省資源、省力的な高品質苗生産を行うための知見を得ることを目的とした。 そのために,閉鎖型苗生産システムおよび温室において,栽植密度および気流速度を変えてトマト,チンゲンサイおよびホウレンソウの育苗を行い,成長量およびその均一性を調査した。また,栽植密度および育苗日数を変えてトマトの育苗を行い,成長量の均一性の生育にともなう変化の詳細な調査および均一性の評価方法を検討した。 そして,1)植物種によらず閉鎖型苗生産システムを用いれば,温室よりも密植した育苗もしくは育苗期間の短縮ができること,2)気流制御により従来以上に高い栽植密度で育苗が可能となるが,その効果は植物種によって異なること,3)栽植密度が高く,育苗期間が長いほど相互遮蔽が増大し,茎長を除く成長量の均一性が低下すること,を示した。これらの知見から,閉鎖型苗生産システムを用いて適切な気流制御を行うことで,植物種に関わらず高品質な苗を高栽植密度で育成することが可能となり,省資源,省力的な苗生産ができると結論した。
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