研究概要 |
マウス腸管常在型マクロファージの基本的生物学的性状に関して、各種受容体、活性酸素産生能、特有のKチャネルなどの存在を確認し研究論文としてまとめた(Neurogastroenterology and Motility16,1-13,2004)。一方、肥満細胞に関しては、IgEが単独で脱顆粒を起こすことを世界で初めて発見しこれを論文にまとめた(Am.J.Physiology,286:C256-C263,2004)。この研究はFc受容体が抗原で架橋されることが肥満細胞活性化に必須であるとするこれまでの常識を覆すものである。さらに、微小管に着目して行った研究で、容量依存性Caチャネル活性が微小管の重合・脱重合反応により制御されていることを見出した(J.Immunologyに受理され印刷中)。一方、IL-1βによるCPI-17のダウンレギュレーションが腸管平滑筋収縮能を低下させることをこれまで報告しているが、この現象をTNBSクローン病モデルやDSS潰瘍性大腸炎モデル動物の腸管でも確認した。さらに、ヒルシュスプルング病モデル動物を用いた実験から、マクロファージと神経あるいはカハール介在細胞とのクロストークに関しても、神経とカハール介在細胞の形態学的、機能学的障害に常在型マクロファージが深く関与している可能性を示した(Am.J.Physiol.287:G638-G646,2004)。さらに、自然発症型のクローン病モデルマウスSAMP1/Yitマウスについて検討を行い、神経機能に依存する蠕動反射に障害があることを明らかにした。
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