研究課題/領域番号 |
16208030
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
|
研究分担者 |
堀内 基弘 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30219216)
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
梅村 孝司 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00151936)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系学際領域研究センター, 教授 (50166823)
陰山 聡一 北海道立畜産試験場, 畜産生物工学科, 主任研究員
|
キーワード | プリオン病 / 分子診断 / 造血前駆細胞 / AHSP / PrPc(cellular prion protein) / 転写制御 / 人獣共通感染症 / 牛 |
研究概要 |
1)リコンビナントタンパク質を用いて作製した抗マウス、抗牛AHSP(alpha-globin stabilizing protein)抗体でAHSPの組織分布を検討、骨髄を主に造血組織の赤芽球系細胞に限定した発現が認められた。 2)プリオン侵襲時にAHSPの選択的な発現抑制が生じるメカニズムを明らかにするための赤芽球系細胞モデルとして種々の造血系細胞株を解析、PrP^CとAHSPの両者を発現する細胞としてマウスMEL(murine erythroleukemia)細胞を選定し、さらに高率に赤芽球系分化を示すサブクローンMELhide8を単離した。MELhide8ではPrP^Cが細胞膜にキャップ状に存在、赤芽球系分化誘導後、一過性に増加し、次いでAHSPが発現することがを明らかにした。 3)MELhide8細胞を、プリオン感染マウス由来脳乳剤、あるいはPrP^<Sc>持続感染神経細胞株ScN2a存在下に培養・赤芽球系分化を行ったが、PrP^<Sc>の蓄積やAHSP、GATA-1、EKLFなど赤芽球系特異的転写因子の発現動態に影響は認められなかった。したがって、分化段階にある赤芽球系細胞に対する短期的なプリオン侵襲はAHSPの選択的な発現抑制をもたらさないと考えられた。 4)牛AHSP遺伝子の5'上流領域2.4kbを単離し、様々な鎖長の、あるいは点変異株を作製、MELhide8細胞でのプロモーター活性解析を実施した結果、赤芽球系分化誘導時には、転写開始点の上流-130〜-80bpのGATA-1モチーフを含む領域の存在がAHSPの転写活性化に最も重要なことが判明した。 5)末梢血赤血球におけるPrP^Cの存否を免疫プロット法などで解析した結果、ヒトでは比較的多量のPrP^Cが赤血球膜に検出されるのに対し、牛では検出感度以下であり赤芽球系分化・成熟過程でほぼ消失することが明らかになった。
|