研究課題
基盤研究(A)
1)AHSP遺伝子の5'上流領域プロモーター領域の解析から、赤芽球系分化誘導時には、翻訳開始点上流-328〜-286bpに位置する3カ所の転写因子GATA結合モチーフがAHSPの転写活性化に必要な最小要素であることが明らかになった。EMSA解析等の結果を加え、赤芽球系前駆細胞におけるAHSPの転写にはGATA-1の作用が必須なことが明らかになった。同時に、PrP^<Sc>侵襲によるAHSPの発現抑制には、GATA-1による転写制御が関連することが推定された。2)プリオン感染マウス由来脳乳剤、あるいはPrP^<Sc>持続感染神経細胞株ScN2a存在下にMELhide8細胞を培養し、AHSP等の発現を解析した。しかし、赤芽球系分化誘導時、AHSPをはじめ、α-グロビン、β-グロビン、GATA-1、EKLF、NF-E2などの転写にはいずれも何ら影響が認められず、また、長期継代後にもMELhide8細胞にはPrP^<Sc>の蓄積が全くみられなかった。これらの結果から、PrP^<Sc>はMELhide8細胞に対する直接作用をもたないことが明らかになった。3)MELhide8細胞におけるAHSP mRNA発現量、ならびに上記GATA依存性のAHSPプロモーターレポーター遺伝子発現は、IL-6の添加で濃度依存性に抑制された。IL-1βにも類似作用が認められたが、その効果はIL-6に比して低かった。これらの作用は、STAT3経路の抑制により明確に減少した。したがって、赤芽球系細胞におけるAHSPの転写抑制は、プリオン病で増加する炎症性サイトカインによるGATA依存性転写のSTAT3系による抑制を介することが示された。4)牛末梢血赤血球の細胞質にAHSPが存在することが明らかになった。BSE感染個体由来脳を接種した牛群の末梢赤血球AHSP含量は、健康個体のそれと有意差は認められず、早期診断マーカーとすることは困難なことが判明した。
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