研究概要 |
ヒマワリより単離されたヘリアンヌオール類は、特異な炭素基本骨格を持つアレロパシー活性セスキテルペンである。平成16年度は、(1)ヘリアンヌオール類を中心とした天然アレロケミカルの合成と、(2)それらの生物活性評価を目的に研究を行い、以下に示す成果を挙げた。 (1)ヘリアンヌオールA, C, D, E, G, H,及びKの7種の天然物の全合成に成功すると共に、すべての非天然型エナンチオマーの合成を行った。 (2)ヒマワリの種子に含まれるアレロケミカル、サンディバーシホリドの初めてのエナンチオ選択的全合成に成功した。 (3)Penicillium Brevicompactumより単離されたアレロケミカル、ブレビオンCの初めてのエナンチオ選択的全合成に成功した。 (4)ヘリアヌオール類が植物に及ぼす影響の種間差を調べるために、チモシー(単子葉植物)とレタス(双子葉植物)を用いて生物検定を行った。試験した化合物は、(+)-及び(-)-ヘリアンヌオールAと(-)-ヘリアンヌオールCである。レタスに及ぼす影響を調べた結果、天然型エナンチオマーである(-)-ヘリアンヌオールAがやや強い植物成育阻害活性を示した。一方、イネ科のチモシーに対しては、やはり天然型エナンチオマーである(-)-ヘリアンヌオールCがやや強い活性を示し、(-)-ヘリアンヌオールAがこれに次いで強い活性を示した。(+)-ヘリアンヌオールAには植物成育阻害活性は認められなかった。 (5)ヘリアンヌオール類の医薬品シーズとしての可能性を探る目的で、ヘリアンヌオールA, C, D, E, K及びそれらのエナンチオマーについて糖尿病治療薬開発を目的とした生物活性評価を行った。種々の評価系を用いて評価した結果、(+)-ヘリアンヌオールD(天然型エナンチオマー)に核内転写因子NF-κB阻害活性が認められた。
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