研究課題
基盤研究(A)
平滑筋は血管平滑筋の収縮や遊走では、ミオシンとアクチンの相互作用が原動力となるが、まず、ミオシンが活性化されなければならないとされている。ミオシン活性化機序として、ミオシン軽鎖のリン酸化が広く浸透しているが、近年の技術革新により種々のデータが得られ、非(脱)リン酸化のままでの収縮の起こることが認識されるようになった。また逆に、リン酸化した状態でも弛緩の起こりうることも判ってきた。これまでの基礎研究により、平滑筋ミオシンを非(脱)リン酸化のままでも活性化するペプチド及び生理活性脂質を同定し、その生理機能を明らかにした。その逆に、平滑筋ミオシンをリン酸化のままでも不活性化する物質についても明らかにした。当該研究のパートIIとは、この研究を発展させることを意味する。ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)が古くから知られているが、その構造上、中央部にリン酸化能をもつキナーゼドメインがあり、N末とC末にそれぞれアクチン結合ドメインとミオシン結合ドメインがあることが知られている。私どもはC末とN末を合わせをnon-kinase活性として定義し直した。私どもの研究室ではMLCKの全長発現に成功し、キナーゼドメインのATP結合部位を壊し、キナーゼ作用のない変異MLCKを得ることもできた。この変異体を用い、non-kinase活性だけで制御能が検出できた。これまでの研究でMLCKを欠損した変異GbaSM4細胞を作った。この変異株ではPDGFとSPCに対する遊走性がコントロールにより低下した。MLCKのcDNAを遺伝子導入することにより、回復が検出された。
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