研究課題
基盤研究(A)
イノシトールリン脂質は膜の構成成分として必須の微量リン脂質である。その1種であるPI(4,5)P2はPIからPI4キナーゼにより合成されたPI(4)Pを経て、更にPI(4)P5-キナーゼにより合成されるが、様々なホルモン刺激を受けて分解され、IP3とジアシルグリセロール(DG)という二つの2ndメセンジャーを産生し、その結果カルシウム動員やPKCの活性化を起こして、様々な細胞応答を引き起こすという情報伝達系はよく知られている。PI(4,5)P2以外にも、哺乳動物では7種のポリホスホイノシタイドが存在し、個々のポリホスホイノシタイドそのものが特異的な生理機能に関与していることが明らかになってきた。今回、WAVEファミリー蛋白質の中で特に細胞運動に密接に関係するWAVE2の活性化へのイノシトールリン脂質の関与について調べた。WAVE2はイノシトールリン脂質の中でも特に、PI(3,4,5)P3と強く結合した。その結合部位は塩基性アミノ酸がクラスターになっている、塩基性領域であった。結合できない変異体は膜への移行ができず、活性化されなかった。またPI3-キナーゼの阻害剤はWAVE2活性を抑制し、細胞先端部での葉状仮足形成も阻害した。更に、遊走因子の刺激を受けてPI3-キナーゼが活性化されPI(3,4,5)P3ができると、WAVE2はその部位に移行して、活性化され、葉状仮足を形成して細胞遊走を引き起こすことを示した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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