研究概要 |
ヒト変形性関節症(OA)関節軟骨組織においてテトラスパニンの一分子CD151が軟骨細胞でMMP-7と共発現し、CD151の免疫染色性はMankin scoreおよび軟骨細胞のクローニングと正の相関を示した。また、CD151とMMP-7の軟骨細胞での共発現により潜在型MMP-7が軟骨細胞膜周囲で活性化した。これらのデータから、MMP-7はCD151との相互作用で活性化され、OA関節軟骨の破壊と再生に関わる可能性が考えられた。OAと正常関節軟骨におけるプロテアーゼ活性型ADAM8,9,10,12,15,17,20,21,28,30の遺伝子発現をスクリーニングし、ADAM12がOA軟骨細胞特異的に発現しており、その免疫染色性は軟骨細胞のクローニングと正の相関を示した。軟骨細胞をTGF-β処理すると軟骨細胞の増殖とともにADAM12発現が誘導され、細胞増殖はADAMインヒビター、ADAM12抗体、ADAM12 siRNA処理で抑制された。ADAM12はIGF-BPを分解し、IGF-1の放出を促進することから、ADAM12はIGF-BP/IGF-1代謝を通してOA軟骨細胞増殖に関わると推定された。野生型、MMP-9-/-、MMP-13-/-、MMP-9/13-/-マウスの皮膚に創傷を作製し、表皮の再生と肉芽組織形成過程を解析したところ、表皮再生はMMP-9/13-/->MMP-9-/->MMP-13-/-の順により強く遅延し、肉芽組織での血管新生はMMP-9/13-/-とMMP-13-/-マウスで強く抑制されたことから、上皮化にはMMP-9とMMP-13が、血管新生には主としてMMP-13が重要な役割を果たすと考えられた。
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