研究課題/領域番号 |
16209016
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
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研究分担者 |
伊藤 太二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60343109)
箕口 滋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60322757)
水谷 壮利 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00376617)
礒辺 俊明 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (70106607)
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キーワード | レトロウイルス / レンチウイルス / ジーンサイレンシング / クロマチン構造変換因子 / プロテオミクス / ヒストンメチル化 / siRNA / 後転写制御 |
研究概要 |
我々はすでに、ヒトのクロマチン構造変換因子の1つBrm型SWI/SNF複合体がMuLV型レトロウイルスの発現維持に必須であることを示してきた。本研究では、レトロウイルス、レンチウイルス、内在性ウイルスの初期感染、潜伏感染、再活性化に伴うウイルス遺伝子の発現の開始、維持、抑制(ジーンサイレンシング)、抑制解除等の分子機構をSWI/SNF複合体を中心に置いて明らかにすることを目的としている。3つのプロジェクトを並行して行い、以下の結果を得た。 1.MuLV5'-LTR領域におけるクロマチンの動態にSWI/SNF複合体がどのように影響するか検討したところ、この複合体非存在下ではヒストンH4のLys27がトリメチル化を受けていて、ポリコーム複合体による抑制を受けていることが実証された。 2.各種SWI/SNFサブタイプを、各サブユニットや、強制発現したタグ付きサブユニットに対する特異抗体を使った免疫沈降法で精製する方法論を確立した。Brm型およびBRG型SWI/SNF複合体と相互作用するタンパク因子を先端的なプロテオミクスであるダイレクトナノフローLC-MSシステム等を使用して解析した結果、新たに4種のタンパク質が両複合体と結合しうることが示された。さらに2種のタンパク質がBRG型SWI/SNF複合体とのみ特異的に結合することも判明した。現在こうした宿主タンパク質因子群の細胞核内での局在を、共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いて解析中しており、いずれの場合も、少なくとも一部のタンパク質がSWI/SNF複合体と共局在することが示された。 3.レトロウイルス発現の維持に必須であるBrmタンパク質の生合成の抑制機構をSW13細胞を使って解析する。この細胞でみられるpost-transcriptionの段階での抑制反応を解除する試薬を検索中であるが、これまで単離されたものはHDAC阻害剤としての活性を有していた。
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