研究概要 |
本研究では独自開発の呼気ガス分析システムを用いて以下のような種々の疾患病態への臨床応用を試みた.すなわち,種々の生活習慣病を含む呼吸器・循環器・内分泌代謝疾患・消化器疾患などの患者や健康成人を合わせた1011名を対象に健康調査や種々の臨床検査情報を得た上で,安静座位における呼気ガス質量分析を行い低分子ガスを中心とする網羅的呼気データの収集を完了した.これにより統計的に検定可能な約30種類以上の疾患について特異的な低分子ガススペクトラムを得た.この成果を用いて低分子呼気ガスの中でもキーとなる分子種を選定し,呼気スペクトラムによる鑑別診断法のソフト開発に繋げる技術開発を予定している.これにより呼気ガス質量分析法によるスクリーニング検査法の開発と集団検診への応用が実施可能となる.また,心肺運動試験における無酸素閾値に関連する特異的な分子の質量数を特定することを目的に運動負荷に伴う酸素摂取量の推移と同期する微量ガス成分のm/zを呼気・皮膚ガス中に検出した.さらに,日常生活における食品摂取・喫煙・飲酒など種々の生活習慣の生体ガスに及ぼす影響を明らかにする目的で,飲酒に伴いエタノール代謝成分が呼気のみならず皮膚ガスにも出現しその詳細な動態を明らかにした.さらに特定食品成分により特異的に呼気成分が上昇することを明らかにした.さらに喫煙者や特定食品成分摂取における生体ガスの特長を明らかにした.これをもとに生活習慣の呼気に与える影響から生活習慣の推定が可能となった.
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