研究課題
基盤研究(A)
茨城県神栖町の集合住宅居住者に運動・姿勢時振戦、小脳症状、ミオクローヌスの症状を示す者が多数認められた。患者達が共用し飲料に用いた井戸水からジフェニルアルシン酸(DPAA)が高濃度に検出された。32名の居住者のうち30名に神経学的検査を行った。多くの患者は、脳血流シンチグラフで、側頭葉・小脳に軽度血流低下を認めた。乳児は、脳の萎縮と精神発達遅滞が認められた。(Ann Neurol.)マウスの自発運動量をtilting cage法にて測定した。5mg/kg処置により有意な自発運動量の低下が認められた。運動協調性障害は、rota-rod法を用いて検討した。急性処置では、若干の運動協調性障害が認められるが、同時に投与後45分をピークとした著しい体温低下が惹起された。5mg/kg/dayを10日間投与後、24時間後および72時間後に、多数、運動協調性障害が観察された。生後8週齢のマウスICRにDPAA5-10mg/kg/dayを連日、経管的に胃内投与したところ、約5週後に姿勢保持不能、振戦、驚愕反応、傾眠などの神経症状、黄疸が出現した。当該マウスの脳、脊髄、坐骨神経を摘出し、神経病理学的に詳細な解析を行う一方、遺伝子発現の変化を脳の部位別に解析しているところである。また血清学的に肝機能などを検査中である。5週齢の雌性マウスICRにDPAAを2.5mg/kgから15mg/kgを経管的に胃内投与したところ、小脳の特異的酸化ストレスとそのプルキンエ細胞のニトロシル化が認められた。小脳の血流量低下の原因のひとつとして、酸化ストレスに起因する可能性が示唆された。親油性夾雑物をアルカリ抽出して除去し、脂質に含まれるDPAAを分離定量する方法を検討した。DPAA添加回収実験で高回収率が得られた。
すべて 2004
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