研究課題
3人のジフェニールアルシン酸(DPAA)中毒患者において眼球運動の異常について評価した。その特徴は上方注視誘発性眼振であった。その垂直注視保持障害は電気眼振図記録法(ENG)で電位変動が記録された。ラットにDPAAを1-5mg/kgの濃度で15週間、強制胃内投与の結果、痙攣発作などの神経症状を呈した。脳内の神経活動状態を調べるため、FDGの取り込みをオートラジオグラフィーで調べた結果、視床でDPAAの取り込みが減少し、逆に大脳皮質の前頭葉で取り込みが亢進していた。生後8週齢の雄マウス(ICR/Jcl系統)に、ジフェニルシアノアルシン酸(5mg/kg体重)を連日、経管的に胃内投与すると、投与開始後約5週で、マウスに躯幹の保持不能、寡動ならびに無動、震え、驚愕反射様のミオクローヌス、黄疸が出現した。病理組織学的には、小脳顆粒細胞層のglomerulusに空胞変性が多発し、電顕的には軸索変性が認められた。血清学的には、AST、ALT、総ビリルビン、アンモニアの上昇が見られ、肝には出血性壊死性肝炎を認めた。マイクロアレイ解析では、炎症関連遺伝子を含む種々の遺伝子において興味ある発現変動が見られた。脳および脂肪中のDPAAの分離定量法を開発した。脳および脂肪に既知量のDPAAを添加し、ホモジナイズし、アルカリ分解、クロロホルム抽出、pH調整、固相抽出クリーンアップ等の前処理の後LC-ICP-MSで測定した。その結果、有機物除去、脱塩が可能となり、DPAAの良好なクロマトグラムと、高感度、高回収率を得ることができ、実際の脳および脂肪中DPAA量の測定が可能になった。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
日本衛生学雑誌 61(2)
ページ: 255
Neurology. 66(1)
ページ: 131-132
ヒ素シンポジウム講演要旨集 12
ページ: 32-33
核医学 42(3)
ページ: 303
内科 95(6)
ページ: 1626-1630
脳と発達 37巻Suppl
ページ: 180