研究課題/領域番号 |
16209021
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
圓藤 吟史 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (20160393)
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研究分担者 |
石井 一弘 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70323293)
伏木 信次 京都府立医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (80150572)
鈴木 勉 星薬科大学, 薬品毒性学, 教授 (90130757)
山中 健三 日本大学, 薬学部生物薬学科, 助教授 (50182572)
鰐渕 英機 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90220970)
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キーワード | ジフェニルアルシン酸 / 化学兵器 / 有機ヒ素 / ジフェニルヒ素化合物 / 中毒 / 環境汚染 / 神経障害 |
研究概要 |
ジフェニルアルシン酸(DPAA)摂取歴が確認されている48名の成人男女に対し^<18>F-FDGとポジトロンCT(PET)による局所脳ブドウ糖代謝測定を施行したところ、小脳、脳幹部、側頭葉内外側部、後頭葉に代謝低下を認めた。1年以上の間隔で2回のPET検査を施行した9名については、脳代謝低下が改善する傾向が認められた。 ICR系マウス成体期におけるDPAAの慢性曝露による運動機能についてrota-rod法に従い検討したところ、DPAAの用量依存的な運動協調性障害が惹起された。また、この運動協調性障害は曝露を中止することにより経時的な回復が認められた。DPAAの成体期慢性曝露により線条体におけるdopamine誘発Gタンパク質活性化作用の有意な減弱が認められた。 生後8週齢の雄マウス(ICR/Jcl系統)に、DPAA(5mg/kg体重)を連日、経管的胃内投与すると、投与開始後約5週間を経過した時点で、躯幹の保持不能、寡動ならびに無動、震え、驚愕反射様のミオクローヌス、黄疸が出現した。組織形態学的には、小脳顆粒細胞層のglomerulusに空胞変性が多発し、電顕的には軸索変性が認められた。 DPAA 20ppm飲水投与群ではラット肝の前がん病変の指標であるGST-P陽性細胞巣の単位面積当たりの数および面積ともに有意に増加した。DPAAはラット肝発がんプロモーション作用を有することが判明した。また、肝臓における酸化的DNA傷害の指標である8-OHdG形成レベルは各群間に有意な差はなかったことから、酸化的DNA傷害はDPAAの肝発がん性には関与しないことが示唆された。 DPAAを他のヒ素化合物と分離し、高感度分析するため、HPLC-ICP-MS法でのカラムの検討を行った。陽イオンカラムShodex RspaK NN-614で分離可能で、検出下限は0.3μg/Lであった。
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