研究課題
1.妊婦と小児を対象に前向きコホート研究を実施。妊娠26〜35週の妊婦を対象とし、平成17年度で514名が参加。ベースライン調査として、母の食習慣・生活習慣・職業歴・居住環境等を調べた。2.母体血中PCB・ダイオキシン類の異性体毎の濃度と6ヶ月児の神経発達評価との関連の検討では,いくつかの異性体で濃度が高くなると、精神発達および運動発達の得点が有意に低くなり、運動発達でより多くの異性体に有意な結果が得られた。よって,本調査のような低い曝露濃度では、総PCB・ダイオキシン類濃度およびTotal TEQ値では運動発達への影響はないが、運動発達に負の影響を及ぼす特定の化学物質がある可能性を示唆する結果と考えられた3.母体血ダイオキシン濃度は年齢、海産物の摂取と正の関連、分娩歴、喫煙、豚肉の摂取と負の関連を呈した。これらの因子で調整した新生児甲状腺ホルモンへの影響を検討では、Mono-ortho PCBs-TEQとTSHは負の関連、Total PCDD/PCDFs-TEQとFT4は正の関連が認められ、新生児甲状腺機能を抑制しないことが示唆された。4.タバコ煙中の化学物質であるPAHsの代謝や解毒に関与するAhR遺伝子野生型、CYP1A1遺伝子変異型およびGSTM1遺伝子欠損型を持つ喫煙妊婦では新生児体重および身長が有意に減少することが認められ,喫煙曝露への感受性の違いが胎児発育に影響を及ぼすことが示唆された。5.母体血ダイオキシン濃度と臍帯血IgEとの関連検討で、Total TEQ等と有意な負の関連が認められた。6.母体血中PCDDs、PCDFs、Coplanar PCBs濃度と毛髪水銀濃度の関連では、Coplanar PCBsにおいて有意な正の関連が見られたが、PCDDs、PCDFsにおいては見られなかった。7.マイクロアレイ法を開発し、CYP1A1 I462V、CYP1B1 L432V、GSTP1 I105V、AhR R554K遺伝子多型について妥当性を得ることができた。8.今後、神経発達や行動障害、アレルギー発症を観察し、内分泌かく乱物質の影響を検討する。
すべて 2006 2005
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