研究概要 |
本研究では、縁取り空胞性ミオパチー(rimmed vacuolar myopathy:RVM)の代表的疾患縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(distal myopathy with rimmed vacuoles:DMRV)と自己貪食空胞性ミオパチー(autophagic vacuolar myopathy:AVM)の分子病態解明と治療法の開発を目指している。 DMRV患者で認めるGNEミスセンス変異を有する組み換え蛋白質を作製し、酵素活性を測定した。GNEドメインの変異ではGNE活性の低下を、MNKドメインの変異ではMNK活性の低下を認めた。in vitroでの実験から、患者細胞(皮膚線維芽細胞および筋管細胞)では低シアリル化を来していること、この低シアリル化は、GNE代謝産物の投与により回復可能であることを示した。現在、本邦DMRV患者で最も多いc.1765G>C(V572L)変異を有するヒトGNE transgeneを導入したマウスとヘテロ接合型GNEノックアウトマウスを交配させ、GNEノックアウト・バックグランドで、V572L変異を有するGNE-/-,Tg GNE c.1765G>Cを作製中である。今後、行動テストおよび組織学的解析を行い、DMRVのモデルマウスとして使用可能かを検討する予定である。 新しい先天性ミオパチー様のX連鎖性AVMを見出し、連鎖解析を行った。遺伝子座が、過剰なオートファジーを伴うX連鎖性ミオパチー(X-linked myopathy with excessive autophagy:XMEA)として報告されている疾患の遺伝子座と一致したことから、両疾患はアレル病である可能性が示唆された。 オートファジープロセスの可視化については、現在Tg LC3-GFPマウスとLAMP-2ノックアウトマウスを交配中である。
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