研究概要 |
(1)全国の大学病院の血液内科の診療科から、合計30件の新規急性骨髄性白血病(AML)患者の細胞(平成16〜17年度の患者数を合計すると82例)を収集し、VLA4の発現強度を測定することができた。 (2)診断時ヒトAMLモデルマウス及び再発ヒトAMLモデルマウスを作製した。具体的には、これまで研究に用いてきた骨髄微小残存白血病モデルマウス(MRDマウス)を7日間放置して診断時ヒトAMLモデルマウス(day14マウス)を作製した。また、MRDマウスにAraC 20mg/マウスを投与して3週間後のマウスを再発ヒトAMLモデルマウスとして用いた。 (3)平成16年度に作製したヒト化キメラ抗VLA4抗体(SG/73)の効果を上記の診断時AMLモデルマウスと再発ヒトAMLモデルマウスを用いてin vivoで確認した。具体的には、モデルマウスに対して、ヒト化キメラ抗VLA4抗体(1mg/マウス)と抗癌剤であるAraC(20mg/マウス)を各々単独あるいは併用して静脈内投与し、マウスの生存期間を測定した。ヒト化キメラ抗VLA4抗体を単独投与したマウスの平均生存期間は、診断時ヒトAMLモデルマウスで14日間,再発ヒトAMLモデルマウスで21日間であった。AraCを単独投与したマウスの平均生存期間は、それぞれ29日間および42日間であった。一方、ヒト化キメラ抗VLA4抗体とAraCを併用投与したマウス(併用療法施行マウス)は、62日間生存していた時点で屠殺して、諸臓器におけるU937の残存をhuman Alu sequenceを検出するPCR法で確認した。その結果、骨髄を含めて検索した全臓器(末梢血,大脳,肺,心臓,胸腺,肝臓,脾臓,腎臓,卵巣)においてU937を認めなかった。つまり、ヒト化抗VLA4抗体がAraCによる治療効果を増強することを確認した。 (4)上記(1)の患者群の予後とVLA4の発現強度との関係を明らかにする目的で統計解析を開始した。
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