研究課題/領域番号 |
16209044
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 純 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40158449)
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研究分担者 |
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (50220835)
水野 正明 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70283439)
西村 孝司 北海道大学, 遺伝子制御研究所, 教授 (30143001)
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
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キーワード | 脳腫瘍 / 主要組織特異抗原 / 免疫療法 / 細胞療法 / ISO / GMP |
研究概要 |
本研究では、我々が独自に同定してきた脳腫瘍抗原とそのペプチド等価体を用いた悪性脳腫瘍に対するMHCクラスI拘束性細胞療法の開発を目指した。その開発プロセスとして、(1)脳腫瘍特異または関連抗原を同定し、それを用いた悪性脳腫瘍に対するMHCクラスI拘束性細胞療法を開発する、(2)同定した抗原ペプチドを基に、ペプチド等価体を作製し、生体内で、より安定的に免疫を惹起できることを確認し、GMP(Good Mallufacturing Practice)に対応した細胞調製法を確立する、(3)それらの臨床研究の実施を目指す、の3つの課題を掲げた。昨年度はこのうちの(1)及び(2)の課題をスタートし、標的分子として、X-linked inhiditor of apoptosis protein(XIAP)、Aurora-B、JNK及びFasを同定した。そして、XIAP、Aurora-B、JNKの3分子の機能を抑制するsiRNAあるいは化合物が効率よく細胞死を誘導したり、免疫の増強効果を示したりすることを証明した。一方で、これらの分子あるいはその関連化合物を、臨床研究で使用できるレベルに高めるための取り組みとして名古屋大学医学部附属病院内において品質保証体制及び調製施設の整備をはじめた。この実績を踏まえ、悪性脳腫瘍に対するMHCクラス1拘束性細胞の調製と、同定した抗原ペプチドを基にしたペプチド等価体の作製を進め、その生物学的有用性を評価した。その結果、ISO9001:2000とISO13485:2003の元でのMHCクラスI拘束性細胞の調製に成功し、臨床研究を2症例で実施し、調製した細胞の安全性を確認した。インターフェロン遺伝子治療との併用についてはプロトコールを作製した。また、ペプチド等価体の研究では、生物学的活性が出たものの安定性に問題があることがわかった。
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