研究課題/領域番号 |
16209046
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 和彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (90199224)
|
研究分担者 |
正田 丈裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335263)
辻川 洋 京都大学, 医学研究科, 助手 (20362501)
|
キーワード | プロオピオメラノコルチン / 局所麻酔薬 / Caチャネル拮抗薬 / 亜酸化窒素 / モルヒネ / ノシセプチン / イソフルラン |
研究概要 |
麻酔科領域で用いられている薬物の薬理作用において、遺伝子発現の変化が果たす役割について検討することを目標として研究を行い、以下の知見を得た。 下垂体前葉由来培養細胞にプロオピオメラノコルチン(POMC)のプロモーターとluciferase遺伝子を連結したDNAを導入した細胞株を用いて、各種薬物によるPOMC発現調節を検討した。臨床麻酔において広く用いられている局所麻酔薬(リドカイン、メビバカイン、ブビバカイン、ロビバカイン)および循環管理で頻用されるCaチャネル拮抗薬(ニフェジピン、ベラパミル)は高濃度においてPOMC発現を促進することが明らかになった 麻薬による免疫抑制の機序を遺伝子レベルで明らかにすることを目的に、Tリンパ球にモルヒネを作用させることによりmRNA発現が増加あるいは減少する遺伝子を同定し、アポトーシスに関連する一連の遺伝子の発現が亢進することが明らかになった。さらに、モルヒネが結合するTリンパ球細胞膜に発現する受容体について検討する予定である。 オピオイドペプチドに相同性を有するノシセプチンは、侵害受容、ストレス反応に関与することが示されているが、生理的機能は未解明の部分が多い。ノシセプチン欠損マウスを用いた研究により、ノシセプチン系は揮発性麻酔薬の麻酔作用には関係しないが亜酸化窒素の鎮痛作用に関与することが明らかになった。さらに、亜酸化窒素は脊髄におけるセロトニン放出を増加させることを示し、脊髄レベルでの鎮痛作用にセロトニンが関与する可能性が示唆された。一方、揮発性麻酔薬イソフルランは大脳皮質におけるセロトニン放出を低下させ、この作用がイソフルランの鎮静作用に関与する可能性が示唆された。
|