研究課題/領域番号 |
16209047
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 節 大阪大学, 医学研究科, 教授 (60157188)
|
研究分担者 |
澁田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20324767)
佐甲 靖志 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20215700)
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
田中 良晴 大阪府立大学, 総合科学部, 助人 (60236651)
|
キーワード | 5-HT3受容体 / 電位固定法 / アミノ酸点変異 / 局所麻酔薬 / プロカイン / リドカイン / テトラカイン / ブピバカイン |
研究概要 |
局所麻酔薬はNaチャネルだけでなく種々の受容体やイオンチャネルに作用を及ぼすことが知られている。本研究では、局所麻酔薬が5-HT3A受容体に及ぼす作用、作用部位および作用メカニズムを検討した。 1)5-HT3A受容体に対する局所麻酔薬の抑制作用の検討:アフリカツメガエルの卵母細胞にヒト5-HT3AのmRNAを注入して5-HT3A受容体を発現させ、電極電位固定法によって5-HTによるカレントを測定した。プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ブピバカインの全ての局所麻酔薬は濃度依存的に5-HT3A受容体を抑制したが、その作用効力はNaチャネルに対する作用と異なっていた。また、抑制作用様式はブピバカインでは非競合的拮抗であったが、他の麻酔薬では競合的拮抗であった。これは、5-HT3A受容体に対する局所麻酔薬の作用部位は5-HTのそれとは異なることを示唆している。 2)5-HT3A受容体に対する局所麻酔薬の作用部位の検討:ヒト5-HT3A受容体の5-HT結合ループ内(NH2末端部)のアミノ酸残基を点変異した3つの受容体(101番目のグルタミン酸をアスパラギン酸;E101D、およびアスパラギン;E101Nに変異、155番目のトリプトファンをチロシン;W155Yに変異)のmRNAを注入して5-HT3A受容体を発現させた。全ての局所麻酔薬は点変異5-HT3A受容体を濃度依存的に抑制した。プロカインの抑制作用は非点変異型に比べて点変異型5-HT3A受容体では約10分の1に低下したが、リドカインの抑制作用は点変異によって全く変化しなかった。これらの結果は、点変異を起こさせたNH2末端部のアミノ酸残基とプロカインの作用部位が密接に関係していることを示唆している。さらに、リドカインの抑制作用は点変異によって影響を受けなかったことから、5-HT3A受容体への結合部位はプロカインとは異なることが示唆された。
|