研究課題/領域番号 |
16251004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮本 一夫 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (60174207)
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研究分担者 |
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (20108723)
辻田 淳一郎 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 専任講師 (50372751)
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00253807)
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 教授 (70169184)
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (20183246)
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キーワード | 山東龍山文化 / 国際研究者交流 / 中国 / 水田遺構 / 楊家圏遺跡 / 安定同位体分析 / 石器 / 古人骨 |
研究概要 |
1.山東半島南海岸から東端にかけて、龍山文化の遺跡の地形環境や立地条件を調査するため、研究メンバーほぼ全員による踏査(ジェネラルサーベイ)を行った。また集落遺跡周辺の生産遺跡の存在を立地条件から推測することとし、特に水田の存在の可能性を注目した。さらにGPSで遺跡の位置を記録し、遺跡のGIS分析のための基礎資料を収集した。 2.この踏査の際に、龍山文化の各遺跡で黒陶片を採集し、小池裕子を中心とするグループが黒陶内の炭素の安定同位体分析を行った。その結果、山東半島南海岸では、C3植物とC4植物が黒陶の製作に使われている可能性があるが、南海岸でもより南に行くに従いC3植物である稲籾を使っている可能性が高まった。 3.山東半島の東端に位置する楊家圏遺跡の調査を行った。この遺跡は龍山文化期のコメが検出された中国大陸の東端に位置し、山東半島東端部を弥生時代の水田の起源地として我々は推定している。しかし現状では水田などの生産遺跡は未だ発見されていない。そこで、イネの生産の可能性のある楊家圏遺跡で、地形環境から推定した生産地域をボーリング調査することとした。合計50ヶ所あまりのボーリングで土壌を採取した。それを分析した宇田津徹朗の初歩的分析結果によると、地表下2メートルの地点で、安定的にイネのプラントオパールが検出できた。現在、ボーリング土壌内の炭素年代測定を行っており、年代の特定が待たれるが、龍山文化時期の可能性が高く、水田土壌である可能性が高い。 4.山東半島東端である膠東半島を弥生時代稲作農耕の起源地と考える根拠の一つに、弥生時代の農工具である石器の形態や種類の祖形が膠東半島にあると考えるからである。しかし比較資料がこれまでごく少数にとどまっていた。そこで、膠東半島の龍山文化や岳石文化を中心とする新石器時代の石器の実測調査を行い、資料を収集することとした。これは主に宮本一夫が中心に行い、石器資料の写真と実測を150点以上行い、基礎資料を充実させた。 5.また、このような弥生時代水稲農耕起源地に関しては人の動きが注目される。そのため古人骨の形質学的分析を行うこととし、中橋孝博を中心として丁公遺跡の古人骨資料の分析を開始した。 6.さらに、比較資料として水田遺跡である韓国春川市泉田里遺跡で調査を行うとともに、UCLA大学で調査成果の報告を行った。
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