研究課題
3年度目にあたる本年度は、マレーシア・フィリピン・ケニアにて、紛争処理と多元的法秩序生成に関するインテンシブな実態調査を継続し、調査終了後に中央大学で研究会を実施した。宮本勝(研究代表者)は、マレーシア・サバ州の原住民裁判所にて、審理傍聴と裁判記録のデータベース化を継続した。ペナンパン行政区の裁判所では、慣習法運用を伴う複数の裁判事例(男女関係をめぐる紛争等)を観察・記録した。また、州経済企画庁からの要請で、サバの法文化に関する講演を行った。クアラルンプール市では、総理府経済企画庁と国立博物館にて、調査成果の報告と研究打ち合わせを行った。清水芳見は、前年度に収集した調査資料(ブルネイ・ムアラ県のムスリム地域の紛争処理とバンダル・スリ・ブガワンのイスラーム法裁判所の資料)を中央大学で整理・分析した。堤和通は、マレーシア・サバ州の通常裁判所にて、文献調査とインタビューを実施した。比較分析により、裁判所手続きにおける英米法的特徴(当事者主義など)の所在が明らかになりつつある。また、サバ州の原住民裁判所で審理傍聴を継続し、国家法と慣習法との並存状況についての調査、法意識の比較分析を実施した。森正美は、フィリピン・パラワン島のバランガイ法廷におけるインタビューと裁判資料の収集を継続した。ルポン(調停者)の役割や選出過程に着目し、調停者資格を得るための諸条件や、調停者研修を担う自治省の取り組みについて実態調査を行った。また、鉱山開発に伴う法改正が地域社会に与える影響等について調査を実施した。石田慎一郎(研究協力者)は、ケニア・ニャンベネ県にて、家庭内暴力・性犯罪に対する伝統的制裁を観察・記録した。また、ナイロビ市で、メノナイト教会が支援する紛争処理機関の活動についてインタビューを行った。国立公文書館では、嗜好品の法的規制等に関する植民地期行政文書を閲覧した。
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証券奨学同友会報 29
ページ: 21-23
法社会学 65
ページ: 54-66
Papers of 15th International Congress 2006, "Law, Power and Culture : Transnational, National and Local Processes in the Context of Legal Pluralism"
ページ: 1-12