研究課題/領域番号 |
16251011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 亮三 東海大学, 文学部, 教授 (20114655)
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研究分担者 |
横山 玲子 東海大学, 文学部, 教授 (50287041)
内田 晴久 東海大学, 教養学部, 教授 (50232856)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | ペルー / ヤンガヌーコ / パタパタ / ケウシュ / 先史時代 / 北海岸 / 金製品製作 / 金鉱山 |
研究概要 |
東海大学新大陸学術調査団は、平成16年度から平成19年度までの4年間、ペルー国アンカシュ県ユンガイ郡の、ワスカラン、ワンドイ山麓に広がるヤンガヌーコ遺跡、パタパタ遺跡、並びにケウシュ遺跡の発掘調査を行った。本調査研究は、海抜3000-4000mの高地に位置するこれらの遺跡群が、西暦紀元後10〜14世紀を中心にペルー北海岸で爆発的に発達した金製品製作と関連して、この地方で現在でも産する金を海岸地域に供給するために、北海岸地方の人々によって直接・間接に経営されたのではないかという仮説を検証することであった。 ヤンガヌーコ遺跡では、これ以前に行った調査によって、北海岸様式土器が出土するとともに、廃棄された砂から、微量であるが金が検出されることが確認されている。今回の調査は、ヤンガヌーコ遺跡が西暦紀元前1000年頃から、他地域と盛んに交流を行っており、貝類等を海岸地域から得ていたこと明らかにした。パタパタ遺跡では、西暦紀元6世紀以前には貝類が副葬品として海岸部からもたらされ、西暦紀元900-1400ごろには、北海岸で生産された様式に酷似した銅(ヒ素青銅)製品が多数搬入されていることが分かった。これによって、北海岸地方と調査遺跡群が永く恒常的な繋がりをもっていたこと証明できた。 ケウシュ遺跡は、チュルパと総称される石造の墳墓兼神殿を擁する大規模な行政・祭祀センターである。チュルパ外壁沿いに発見された奉納土器をはじめ、この遺跡出土の完形土器や土器片の中には、北海岸(一部、中央海岸も含む)で西暦6〜15世紀の期間にわたって製作されたものが多数確認された。これは、ケウシュ遺跡に、北海岸の人々が実際に居住していたことを示唆するものであった。 以上の調査研究を通して、先史時代の北海岸の人々が、高地を頻繁に訪れ、あるいは居住していたということを、ペルー考古学史上初めて明らかにした。その目的は金山開発だったと思われるが、この点は今後さらに明確にしなければならない。
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