研究課題/領域番号 |
16252004
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 繁男 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40353685)
|
研究分担者 |
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80093334)
阿部 健一 国立民族博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (80222644)
松林 光蔵 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70190494)
山越 言 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (00314253)
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
|
キーワード | 森林資源 / 森林荒廃 / 人口増加 / 薪炭材 / 生活水 / 人口移動 / 生物保全 / 脱毛症 |
研究概要 |
ラオス・ナムター県のナムハー村において生活エネルギー源としての薪炭材の採取・利用状況と家計との関係を調査した。薪炭材は共用林や焼畑跡地から採取するため購入する必要が無く、現在では村民間での採取に関して問題は生じていない。しかし、人口の増加が消費量に影響し、今後無料の生活エネルギー源量の低下が家計に及ばす影響が危倶された。ナムター県からウドンサイ県にかけて、移動焼畑が広く分布し、森林の荒廃が顕著になるに従い、生活水の問題が生じている。 サワナケット県の6つの村でDemographic Surveillancc Systemを用いて人口と世帯の変化、生活環境、インフラストラクチャー資源管理などを継続調査している。現在、もっとも問題となっている現象は村人のタイへの移動が頻繁に認められることで、それに伴う村単位のDSSが正確に把握できないため、システムの改良を行っている。ちなみに、既婚女性が産む子供の数は3.2人ほどでこの20年間で一人が生む人数は減少してきている。さらに、ドンバン村では農閑期における成人の栄養状態、時間利用、身体活動量を13世帯の夫婦について調査した。これは身体を中心としてエネルギーと現金の流れを解析する目的である。この村では市場経済との接合が進む中でさまざまな生活財の購入や医療費・学費など公的サービスを受けるためどの世帯も現金収入を得る必要に迫られていることが明らかになった。西アフリカ・ギニアではチンパンジーと地域住民との関係に生態研究所が加わり、研究・保全が研究所の管理下に置かれ、地域住民の抵抗(生息場所の焼畑化)を招く原因となった。地域住民の生活と生物保全の問題として、社会生態学的検討を行った。マダガスカルではワオキツネザルの生態とエコツアリズムとの関係の調査を行った。ワオキツネザルの食料であるタマリンドが枯死してゆく中でエコツアーのための劣化森林の修復が行われ、導入樹木としてルーカエナが植林されたが、これを食したワオキツネザルに脱毛症が起こり、人間が野生動物に病気をもたらせたことが明らかになった。
|