研究課題/領域番号 |
16252008
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
安江 孝司 法政大学, 法学部, 教授 (40061197)
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研究分担者 |
飯田 泰三 法政大学, 法学部, 教授 (00061218)
仲程 昌徳 琉球大学, 法文学部, 教授 (50044863)
我部 政男 山梨学院大学, 法学部, 教授 (90045188)
東 喜望 白梅学園女子短期大学, 名誉教授 (10113284)
細田 亜津子 長崎国際大学, 人間社会学部, 教授 (50331046)
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キーワード | 琉球列島 / インドネシア・フローレス島 / 基層文化ネットワーク / 男系・女性集落 / 八重山諸島 / イカット / ミクロネシア / 沖縄移民のアイデンティティ |
研究概要 |
本年度は初年度にあたるため、データベースを作成し、文献史資料の体系的な整備・構築を行うことを第一の課題とした。 また、調査・研究においては、琉球列島と東アジア、東南アジアのネットワーク形成と変容に関する課題のうち、東南アジア、とくにインドネシア・フローレス島の調査を行い、両者の基層文化間の系譜論的、文化史論的検討を行うことを中心的な課題とした。その結果、フローレス島はインドネシア共和国のなかでも開発計画からはずれていることもあって、従来の調査地域との比較で言えば、オランダの植民地としてキリスト教化された島よりは、アニミズムなどの信仰、宗教的儀礼、伝統文化などが色濃く残り、現在でも維持されていることを確認することができた。具体的に言えば、フローレス島内の集落は男系の集落、女系の集落との明確に分かれており、男系の集落はMosalakiという長(シャーマン)のもとですべて決定され、その指示のもとに生活が営まれる。この長たるシャーマンは祭儀や雨乞いなどの儀式を執り行なう。女系集落は、祖先への供物を犠牲にする祭壇を中心とする象徴を村落内の空間配置に設定している。これは、八重山諸島の来訪神儀礼を担う集団、すなわち男子秘密結社と、ツカサ(祭司)を中心に祖先祭祀を行う「イビニンジュ」と呼ばれる関係を想定させるものであった。すなわち、八重山諸島では、男系、女系の集落を構成することはないが、ひとつの集落の深層に、こうした互いに「異性に閉ざされた社会」を形成させていると考えられるからである。 フローレス島は、またIkat(絣織物)が有名な産地であるが、ここでは男性用、女性用の文様、色などの区別があったが、これも社会構造を反映している可能性がある。 また、ミクロネシアの調査も精力的に行ったが、これは沖縄移民の文化的アイデンティティが、移民によってどのように変化するのか、追跡調査するためのものであった。
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