研究分担者 |
伊藤 久男 海洋研究開発機構, 地球深部探査センター, 科学計画室長 (10356470)
嶋本 利彦 京都大学, 理学研究科, 教授 (20112170)
松林 修 産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究グループ長 (70358034)
田中 秀実 東京大学, 理学系研究科, 講師 (40236625)
矢部 康男 東北大学, 理学研究科, 助手 (30292197)
|
研究概要 |
我々は,前年度までに得られた温度測定データの解析を継続した.GRIに投稿し論文(Kano et al., 2006, Tanaka et al., 2006)では,観測された断層摩擦熱の痕跡は,地震時の大きなすべりの間はたらく動摩擦力は小さいことを示している. 我々は,摩擦応力を低下させる熱による圧力増加の効果を推定するための簡単な計算を行なった.その結果,地震によって発生する熱は,おおきな圧力増加をおこすには十分な量でないことがわかった.動摩擦を低下させるこれ以外のメカニズムを考慮することが必要である. 断層近傍の岩石の熱物性とその空間分布の温度測定に対する影響の評価もひきつづき行っている.熱物性は我々が指摘している温度異常の大きさと形に影響を与える可能性がある.その結果,我々が求めた摩擦力の値は上限値であり,実際はより小さい値である可能性を示した。 ボアホールの閉鎖とほかの注水実験が行なわれたために,温度の繰り返し測定を行うことはできなかった.3月に観測現場を訪問し,我々の観測機器を撤収した. 3月15日と16日に,台湾中央大学において,共同研究者との研究会をもった.我々の現時点での研究成果をもちより,それらをどのように地震のダイナミクスと関連づけるかを議論した.
|