研究課題
基盤研究(A)
カワゴケソウ科は、川岸や川床など雨期には水中に沈み、乾期の水位が下がった時には空中にでて花を着ける水生被子植物で、約280種が世界の熱帯の雨季・乾季の区別のある地域に分布している。カワゴケソウ科は、分子系統解析から真正被子植物オトギリソウ科に近縁であることがわかっており、体の単純化は、水中の岩に固着して生活するという特異な環境に適応したために生じた跳躍的進化の結果と考えられている。本研究では、アジア、アフリカ、アメリカ、マダガスカルでの野外調査において世界のカワゴケソウ科を収集し、葉緑体遺伝子matKを用いた分子系統解析と、比較形態形成研究、ならびに生理生態的研究からその跳躍的進化機構の解明をめざした。系統解析と生物地理学では、カワゴケソウ科は高い地域性をもっていること、トリスティカ亜科のうち1種は世界中に分布しているがこれの祖先はカメルーンなど西アフリカであり、後に世界に広がった事が示唆された。比較形態形成から、トリスティカ亜科ではシュートに茎頂構造が維持されているが、カワゴケソウ亜科では茎頂は形態的には消失しており、本来茎頂が作るべき葉は、すでに形成された葉の基部から、プログラム細胞死をともなって、切り出されることがわかった。このような無茎頂の分子遺伝学的機構を知るため、STM相同遺伝子、WUS相同遺伝子、CLV3相同遺伝子などをカワゴケソウ科から単離し、in situ hybridization法にてそれらの発現を観察しようとしている。これら遺伝子の単離には成功したが、現在、in situ法を進行中である。また生理生態的研究では、現地における調査から、水面より20cm下がった水中で光合成がさかんであることから、カワゴケソウ亜科では強光阻害が起きている事が示され、表皮細胞に存在する大小の葉緑体位置(小は上側、大は下側)との関連が示唆された。
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