研究課題
基盤研究(A)
今世界は貿易の自由化やボーダーレスの時代に向かって急速に進みつつあり、交通網の発達やスピード化、長距離化に伴い、多くの人や物や食品が、より多くの国に移動可能となった。この結果、感染症も国際化・多発化が進んでおり、この蔓延防止のために防疫のリスク分析システム、検疫体制、国内監視体制、危機管理システムなど抜本的に見直さなければならない時代に来ている。また、国外には感染症の発生対応に追われ、食品衛生や感染症予防に手が回らない国が依然として多く、SARSなど人口密集地域での新たな感染症の発生が起こり、世界中を震撼させてきた。更に、口蹄疫やBSE等のように多くの国際的な問題が自由な国々の交流の結果起こっている。加えて、新たな国際問題としてテロの問題もある。各種感染症は国境を越えて日本に簡単に侵入する時代になっており、一度侵入すると莫大な資金と労力と時間が必要となる。そこで、これらの感染症の侵入を未然に防ぐためには、海外で発生している感染症の情報を迅速に収集するネットワークと、その拡大を防止する危機管理体制の強化や国際的な疫学調査研究が必要である。又感染症の多くが人獣共通感染症であり、経済疫学者を加えた衛生分野に携わる専門畜産衛生研究者集団が率先して取組む必要がある。そこで、本課題では、食品や家畜衛生上問題となる人獣共通感染症において、我国に最も影響があるアジアに焦点を絞り、疫学情報収集網の構築を目的とし、疫学調査および迅速・簡便な検査法の開発と応用を行う。本年度は、(1)ベトナムにおける豚コレラの発生状況と経済効果について、(2)タイ国における危険病原体(炭疽、ブルセラ)や食中毒原因菌の実態調査について、(3)モンゴルにおけるブルセラ症の疫学調査研究を実施し、当該国への打ち合わせを行った。来年度は、疫学調査研究及び海外共同研究を中心に研究を推進する。
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