研究課題
基盤研究(A)
まずメキシコ・南バハカリフォルニア州で土壌と作物の調査を行った結果、コモンドゥ地域でもっとも塩類集積と作物の塩害が激しいことがわかった。そこで今後の調査をこの地域に集中することとした。特に塩害による栄養障害が著しい果樹を対象とし、土壌の塩類集積状況と樹木の栄養状態との関係を調査した。栄養障害が柑橘とマンゴーにはなはだしく現れ、葉にさまざまな症状が観察された。柑橘については葉のK、MnおよびZn含有率が低く、Na含有率が高いことが明らかになり、土壌の状態を明確に反映した。つぎに農家にもわかりやすい簡易な塩集積の危険度判定法を開発した。コモンドゥ地域の塩集積圃場について、塩集積に関連する因子を点数化して合計したスコアに灌漑に基づく係数(灌漑方法と水量)をかけて、塩類化危険指数を算出する方法を提案した。塩集積土壌の修復法として好塩性で食料や飼料として利用することができる植物を用いる方法(ファイトレメデーション)を提案するために、南バハカリフォルニア州に自生するアッケシソウ(食料)、メキシコ人が日常的に食するフダンソウとビート(食料)およびコキア(飼料)を供試し、塩に対する反応を調査した。その結果、塩性土壌の修復にはフダンソウ、ビートおよびコキア、ソーダ質土壌の修復にはアッケシソウが適することがわかった。南バハカリフォルニア州でもっとも重要な作物であるトウガラシの塩に対する品種間差の調査から、果実の品質を落とすことなく生産性を維持するためには、果実へのNaの移行量が少なく、かつアスコルビン酸合成能の高い品種の選抜が重要であることを提案した。これらの成果を今後世界の乾燥地圃場の土壌劣化の現状把握と修復に展開する予定である。
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J. Plant Nutr. 31(in press)
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Soil Sci. Plant Nutr., 53
ページ: 471-479
Soil Sci. Plant Nutr 53