研究概要 |
1.背景:世界的流行となる新型インフルエンザウイルスの出現が危惧され、世界的なインフルエンザサーベイランス網構築がされている。新型発生候補地である中国南部と国境を接するベトナムにおけるインフルエンザウイルス感染症の疫学的検討は重要であり、事実2004,2005年と高病原性トリインフルエンザA/H5N1の流行からヒトでの死亡例が報告されている。 2.目的:新型インフルエンザも視野に入れ、ウイルス性急性気道感染症(ARI)の疫学的研究を併せて行い、インフルエンザA/H5N1におけるアマンタジン耐性株の有無を検討する。 3.方法:ハノイ市内の病院、1医院等において、発熱、咳、鼻汁を呈し、ARIと診断された患者、インフルエンザA/H5N1の患者が調査対象である。患者の初診時に咽頭拭い液を採取し、研究協同機関のハノイの国立疫学衛生研究書(NIH)Eに送り、検査時まで冷蔵庫保存し、ウイルス分離を行い、分離陽性株についてはHI試験、中和反応により同定した。また、インフルエンザとRSウイルスはRT-PCR法により、同定を試みた。インフルエンザA/H5N1は、ベトナムのP3実験室で培養と、検体粗をcDNAにした後で我々の研究室でアマンタジン耐性株の有無を検討した。 4.結果・考察:本年は第一年度であり、過去の事業を整理し、今後の事業展開を検討した。2001〜2004年ハノイ市のARI患者検体からインフルエンザA型、B型を検出し、各年のインフルエンザ流行は、6,7月と12〜2月の二峰性を示した。2003年以降のA/H1N1,A/H3N2からアマンタジン耐性株を約3%の頻度で検出した。A/H5N1は全例二重変異を持つアマンタジン耐性株でトリからの感染が示唆された。アデノウイルス、RSウイルスの関与は次年度の検討とした。
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