研究課題/領域番号 |
16256002
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
武部 豊 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (50126116)
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研究分担者 |
草川 茂 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (10267990)
椎野 禎一郎 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (90291129)
塩田 達雄 大阪大学, 医学部微生物病研究所免疫・生体防御研究部, 教授 (00187329)
岡 慎一 国立国際医療センター, エイズ治療・研究開発センター, 部長 (20194326)
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キーワード | アジア / HIV / 分子疫学 / サブタイプ / 組換えウイルス / エイズ発症遅延機序 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
国内外の研究者との共同研究により、アジアをフィールドとしたエイズ流行およびその背景にある宿主要因に関する分子疫学に関する研究をと進め、次のことを明らかにした。 1)中国東北部(遼寧省)におけるHIV感染症の分子疫学研究: 中国におけるエイズ低侵淫地域のモデルとして、中国東北部(遼寧省)の解析を行った。中国東北部は、中国におけるエイズ流行の主要なエピセンターから遠隔の地域であるにもかかわらず、予測を超える9種にも及ぶ多様なHIV-1株が見出された。また、不法買血に伴う中国全体では数十万におよぶと推測されている供血者間(former plasma donor, FPD)における感染の原因として重要なHIV-1サブタイプB'感染が全体の過半数を占め、しかもB'流行株がこのFPD集団を越え、異性間ルートで急速に拡大していることが明らかとなった。しかもこのような異性間感染の拡大動向を反映して、多様な新規組換えウイルス(URF)が見出された。これらの知見は、特定のリスク集団に対する対策に加えて、中国においても一般集団への感染拡大の防止策を緊急に実行に移す必要性を喚起するものである 2)マレーシアにおける新型の組換え型流行株の発見: マレーシアは近年流行の急速な拡大が見られるアジア諸国の一つであるが、この地域の流行拡大に関与する新型の組換え型流行株(CRF33_01B)を見い出した。CRF33_01Bは、我が国研究機関が報告し、国際的データベースから正式承認されたはじめてのHIV流行株となった。 3)宿主因子に関する解析:タイ人感染者の中で早期発症者と発症遅延者の2群を比較することで、エイズ発症速度に影響を及ぼす宿主遺伝子多型の解析を行い、IL4-589TとRANTES-28Gがエイズ発症を遅延させる効果があること、一方RANTES IN1.1CがRANTES-28Gを欠く場合エイズ発症を促進する効果があることを明らかにした(塩田班員)。
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