研究課題/領域番号 |
16256003
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
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研究分担者 |
稲葉 裕 順天堂大学, 医学部, 教授 (30010094)
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
佐々木 敏 国立健康栄養研究所, チームリーダー (70275121)
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キーワード | ウラン / 飲料水 / 尿 / アラル海 / 学童 |
研究概要 |
カザフスタンとウズベキスタンに跨るアラル海は琵琶湖の100倍、世界第4位の面積だったが、め、現在は約1/4の面積となり、20世紀最大の環境破壊といわれる。その結果、強い砂嵐が北西から南東にかけて吹くなど、気候変動も起きている。アラル海東側には原因不明の健康障害を訴える住民が増加した。2000年からこの地域の疫学調査に着手した。2005年2月にアラル海東側で最もアラル海に近いクジルオルダ州の2村で無作為抽出した学童155名を対象にして調査を行った。対象学童から飲料水、尿、血液の提供を受けた。飲料水中ウラン濃度はA群(1ug/L以下)が60(38%)、B群(1〜5ug/L)が18(12%)、C群(5〜10ug/L)が48(31%)、D群(10ug/L以上)が29(19%)であった。尿中ウラン濃度は全員の平均値0.15±0.14ug/L、A群0.084±0.08、B群0.14±0.157、C群0.166±0.132、D群0.246±0.192ug/Lであり、CとD群はA群に対して有意に高値(p<0.001)であった。全例の飲料水中および尿中ウランの相関係数はr=0.263であった。尿中クレアチニン(CR)濃度がウラン濃度と平行して増加していたため、CR補正後の尿ウラン濃度はD群のみがA群に対して有意な差が認められた。尿中蛋白濃度はウラン濃度の増加に伴って上昇したが(r=0.272)、NAGおよびβ2ミクログロブリンはウラン濃度と無相関であった。尿中の元素でウランと相関があったものはヒ素(r=0.608)とチタン(r=0.650)であった。飲料水中で有意な相関があった元素はストロンチウム(r=0.800)、鉄(r=0.719)およびカルシウム(r=0.719)であった。飲料水中ウランと腎臓機能障害の指標(NAG,β2MGなど)と直接関係するか否か検討中である。
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