研究概要 |
本研究では,各種の移動するセンサから得られる情報を効率的に収集し,これらの集約,抽象化を行って,多様なサービスから利用可能なようにネットワーク上に流通させる共通基盤技術としてモバイルセンシングネットワークを実現する.初年度に検討を行ったモバイルセンシングネットワークの実用化に向けた課題に対し検討と評価を行った. 環境センシング機構に関しては,初年度に検討した通信方式に関して,非IPネットワークとIPネットワークとの親和性,到達性向上についてネットワークシミュレーションによって基本特性を検討し,ノード数の増加とトラフィック量,到達率などについて評価した.その結果,衝突を軽減する新手法の検討が必要であることが明らかとなった.環境情報発見機構に関しては,位置依存の環境情報を効率よく複製配布する方式について検討し評価を行った.その結果,提案手法では少ない記憶領域で位置依存情報に対するアクセス成功率を高めることができることが確認された.適応型ネットワーキング機構に関して,アドホックなモバイルPAN形成時に課題となるアドレス割当方式やPANを介したデバイスのネットワーク透過利用について検討しプロトタイプを開発した.その結果,アドレス競合時の自動解決やリモートプラグ&プレイの処理時間は問題にならない程度であることを確認した.センシングアプリケーションに関して,障害物のある環境でも精度の高い位置情報の取得可能な方式を検討し,シミュレーションにより測位精度を評価した.ネットワークシステム開発に関して,環境情報を取得・流通させる基盤システムを構築し,モバイル検知器の測位環境や環境情報の取得誤差の低減もしくは解決可能な手法が必要であることを明らかにした.
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