研究概要 |
本研究の目的は、人類の文化遺産である絵画、書画、伝統工芸、建築物などの芸術作品を超高精細画像化し、ディジタルデータとしてデータベースに保存することにより、高度感性情報を半永久的に劣化なく次世代へ遺すことを可能とするディジタルミュージアム構築の基礎検討を行うことにある。本研究2年目の平成17年度における研究成果の概要を以下に具体的に示す。 1 ディジタルミュージアム画像に対するスケーラブル伝送可能な可逆符号化手法の改良 我々はこれまで、ディジタルミュージアム画像に対するスケーラブル伝送可能な可逆符号化手法として、ウェーブレット変換を用いた手法を提案している。前年度までは、モノクローム信号を対象に、オクターブ分割回数および最低域成分の予測手法について検討した。今年度は、対象をカラー画像に拡張し、最適な符号化パラメータについて検討を行い、その符号化特性を明らかにした。 2 カラー画像の可逆コンポーネント変換方式に関する検討 カラー画像信号は、3原色信号(R、G,B)で扱うのではなく、輝度信号と色差信号に変換(コンポーネント変換)してから符号化することが一般的である。しかしながら、可逆コンポーネント変換においてこれまでに提案されている方法では、特に輝度信号において、従来用いられている非可逆コンポーネント変換における輝度信号とは大きく異なっている。本研究では、輝度信号を高精度で近似できる変換法を提案し、その符号化特性を明らかにした。 3 電子透かし方式に関する検討 ディジタルミュージアムでは、コンテンツに対する著作権保護の観点から、電子透かし技術を応用することが不可欠である。しかしながら、ディジタルミュージアム画像においては、透かしを埋め込むことによる画質の劣化は許されない。本研究では、可逆電子透かしの新しい手法を提案し、その有効性を確認した。
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