本研究では、高齢者やベッド上生活者など、誰にも使いやすい入力インタフェースの実現を目指し、使用前のキャリブレーションを簡略化しつつ、注視点位置を安定して計測する手法を明らかにすることを目的としている. 今年度は、ゴーグルに取り付けた超小型CCDカメラと、据え置きビデオカメラの2つの撮影系について、補助照明の有効性について検討した. 昨年度の問題点として、周囲の室内照明による画像処理への影響があった.そこで、具体的には、いずれの撮影系についても赤外線透過フィルタを用いることとした.さらに1)ターゲットとなる赤外線LEDを点滅させ、差分処理を用いて角膜表面での反射像(プルキニエ像)の抽出を確実にすること、2)補助照明により、眼球周辺の顔表面を照らし、天井照明が作る陰影を減少させ、瞳孔領域の抽出を確実にすること、の2点を行った. 1)の方法をとることにより、従来は、計測時の照明状況に応じて二値化スレッショルドを調節しなくてはならなかった反射像抽出が、スレショルドを細かく調節しなくても、高速かつ確実に行えるようになった.比較実験を行ったところ、計測可能な注視点範囲を、左右および上方向に3.0倍に広げることができた. また2)の方法を用いることにより、画像処理が安定して行えるようになり、単純な自然光下での計測に比べ、特に上下方向において、計測可能な注視点範囲を3.0~4.8倍に広げることができた. なお、コンタクト装用者の場合には問題は生じなかったが、眼鏡装着者では、レンズ表面での反射が画像処理に影響するケースが見られ、更に計測方法を改良する必要がある. 来年度は、複数カメラや複数ターゲットLEDを利用し、更に確実かつ安定して注視点位置を計測できる方法の研究を進めていく.
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