研究概要 |
前年度の感情抽出の主観評価実験で得られた感情分類に関する知見をもとに、動作から感情を抽出するアルゴリズムの開発を行った。この感性的認識アルゴリズムをもとに、身体的動作から直感的にメディアをハンドリングできる感性的インタラクティブ・インタフェースを構築した。以下に、今年度に実施した研究について記す。 1.動作から感情抽出するアルゴリズムの開発 身体動作と感情表現の関係付けることにより,身体動作から感情表現を抽出するアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは,人間の動作とその動作に付随する感情表現を対としたデータ群を感性情報処理で解析を通じてその関係性を明らかにするものである。この処理は、高次SVDで学習した各感情に共通した要因を動作からの感情抽出処理に用いることを基本としている。「怒り」「喜び」「悲しみ」「恐怖」「驚き」「嫌悪」の基本6感情に対して、提案のアルゴリズムを適応したところ、それぞれの感情を区別化できる結果を得ることができた。 2.感性的インタラクティブ・インタフェースの構築と評価 上記の感情抽出アルゴリズムを用いることにより、モーションキャプチャデータから感情を抽出して、メディア表現をハンドリングできる感性的インタラクティブ・インタフェースを構築した。このインタフェースは、商用ツールである'TouchDesigner'に感情抽出フィルターを組み込むことにより実現している。これにより、プログラミング知識のないメディアクリエータでも直感的にGUI環境におけるアイコンを操作してメディアハンドリングできるようになり、創造性を阻害することなく新しいメディア芸術的なコンテンツを制作できる環境を提供した。開発したインタフェースの評価実験では、身体動作からの感情表現を簡単な操作で可視化するするアプリケーションを制作し、国際会議で発表して好評を博した。
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