研究概要 |
申請者等は,世界最高水準の高速2次元グラフ構造データマイニング手法を確立しているが,座標系や距離などの数値データ及び3次元トポロジーを正確かつ効率的に扱うための3次元グラフ構造データマイニングに必須な原理の確立を第一の目的とした.次に重要な生理活性を決定する分子構造部を同定する上で必要となる,分野特有のデータ特性や処理に適した手法への適応や技術統合を第二の目的とし,更にそれらを基に生理活性分子部位同定システムの開発を行うことを第三の目的として研究に取り組んだ. 次にその成果を踏まえ,最終目的である生理活性分子部位同定システムの開発を行った.この中では,前年度までに検討,開発した手法を必要に応じて修正,拡張して目的達成を図った.システム開発は,以下の2段階で行った. (i)当初は以下の各研究テーマ毎に分かれた機能に絞り込んだプロトタイプシステムを開発し, 個別の機能の検証,改良を行った. ・3次元グラフ構造の部分分子部位の分かりやすい表示機能 前年度までに得た化学分子の3次元グラフ構造部位の表示について,研究協力者である化学者や医師などの専門家の意見を反映させ,分かりやすいデータマイニング結果の表示プロトタイプサブシステムを開発した. ・化学分子軌道計算結果との関連付け機能 前年度までに得た3次元グラフ構造データマイニングと化学分子軌道計算を結び付ける方法を導入したプロトタイプサブシステム,研究協力者である化学者の支援を受けながら開発した. ・大規模高分子の上位3次元構造のマイニング機能 3次元グラフ構造データマイニング手法を上位構造の生理活性部分部位同定にも適用拡張したプロトタイプサブシステムを開発した. (ii)以上の各機能の十分な作り込みを行った後に,それらを統合した実用に耐えうる生理活性分子部位同定システムの統合構築を行った. 以上により本年度は、雑誌論文を含む12件の発表、著書1件、特許出願1件の成果を得た.
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