研究概要 |
本研究では,バーチャルスタジオ撮影において,演者が仮想物体を直接操作できるインタラクション環境の構築を目標としている.このとき,被写体となる演者が仮想物体とインタラクションするためのインタフェースとして,データグローブ等のデバイスが映像中に現れることは望ましくない.また,映像中で現実物体と仮想物体が区別なく融合するには,仮想物体も現実物体と同様,演者の手などの現実物体を用いて直接操作可能であり,かつその形状やふるまいが現実物体と変わらないものである必要がある.そこで昨年度までの段階で,(1)現実物体を観測し,3次元形状や変形特性などを仮想物体モデルとして獲得するための技術,(2)演者の手に位置センサとデータグローブを装着させることで仮想物体の直接操作を実現すると共に,演者の手を3次元CGの仮想手に置き換え,データグローブ等が撮影映像中に現れないようにする技術,(3)仮想物体と同一形状の現実物体を演者に操作してもらいつつ,映像中では仮想物体に置き換え,視覚・力覚フィードバックを伴う仮想物体操作を実現する技術,(4)演者による仮想物体の把持意図を認識し,演者の知覚誤差やセンサの計測誤差による仮想手と仮想物体の位置ずれを補正する技術,の4つについて研究開発を進めてきた.本年度は最終年度として,上のような技術を一つの映像撮影環境として取りまとめる作業を行った.また,さらなる技術開発として,(1)に関しては,映像中の物体の見え方から運動モデルを獲得し,それを用いて予測される物体の運動を基に,様々な映像効果を付与するための技術等を,(4)に関しては,仮想手と仮想物体の位置ずれ補正において,両者の位置・姿勢が不連続に変化しないための時間的連続性を実現する技術等を開発した.
|