研究概要 |
本研究の究極の目的は,聴取者(音声研究者ではない一般市民を想定)が聞き取って記憶している特定の発話者の「音声言語の総体」を,音声合成の手法を用いて近似よく再現する「音声モンタージュシステム」の実現にある。本課題の期間(平成16年度からの3年間)で,6つの部分課題それぞれについて研究を進め,最終年度にその成果を統合し,声質の再現に重点を置いて,音声モンタージュの可能性を確認する実証的なシステムの構築を目指す。 今年度の研究実績を部分課題ごとにまとめて以下に述べる。 部分課題(1)(言語表出の研究)は,昨年度に行った,より詳細な言葉による音声の再現方法を検討するための調査結果を分析した。来年度,抽出した発話様式や聴取者の嗜好などの音声に関係する日常表現語をまとめる。 部分課題(2)(表現語の音響関連量の研究)は,昨年度に引き続き,音声の持つ発話者の年齢情報に着目して,影響を及ぼす音響関連量をより詳細に抽出した。また,日本語母音のフォルマント周波数の年齢による変化についても実験を行った。 部分課題(3)(発話音声の記憶に関する研究)は,昨年度に立案した実験デザインについて,さらに検討を加え,本実験を行った。分析結果は来年度に公表する。 部分課題(4)(音声の呈示手法に関する研究)は,文献調査を行った。 部分課題(5)(合成音声の類似度評定の研究)は,実験デザインについて検討した。来年度,予備実験と本実験を行う予定である。 部分課題(6)(柔軟な音声合成技術に関する研究)は,ARX分析による合成を容易に行えるようにユーザーインターフェースを改良した。
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