本研究は、コンピュータによる人間の全身的身体動作の認識方法と要約的記述法を研究した。人間の動作は、動作のアルファベットと言うべき動作の断片をつなぎ合わせて成り立づているものと、我々は仮定した。そこでコンピュータがアクション・アルファベットを自動的に抜き出し、さらにはアクション・アルファベットの並び方から行動を識別し、最終的に日常生活で見られる動作を行動の名称として要約して記録する方法を構築した。方法原理は、身体動作には部位間の動作に相関があり、その相関の切り替わり時点にてデータの分節を区切ると、ひとつの動作を抜き出すことができるという発想である。ビデオ動画像を用いる実験では、人体像領域の光学流れに分布に注目した。ベクトル量子化手法によって分布の典型を抽出したところ、典型は身体運動の動作相関類型を示すものであり、アクション・アルファベットといえる。各時刻の生データを最も似た典型の番号に変換し、行動データを符号化した。そして行動の種別に応じて、典型番号の遷移に特徴が現れ、隠れマルコフモデル法を用いて、行動の内容を認識し、行動名として要約する実験に成功した。加速度計による方法では、人間の四肢に小型携帯型の加速度計を装着し、そのデータから行動を識別することを目指した。部位間動作相関を計測するには原理的には各肢に1つのセンサがあればよい。そこで手首・足首に装着した場合と、肘・膝に装着した場合を実験で試した。いずれの場合でも、データをベクトル量子化おとび状態遷移確率比較にて、基本的行動を識別することができた。以上の成果から、日常生活での人間行動をアクション・アルファベットとして認識し要約する方法論を構築することができた。
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