研究課題
本年度は、力感覚機能を通信に用いる力感覚通信の基礎検討を始めた。力感覚通信の基礎技術となるものとして、ロボットのマスタスレーブシステムで用いられている力感覚通信アルゴリズムに注目し、その中で、特に、マスタとスレーブに差がない並列型アルゴリズムを用いて、ハプティックインタフェースを組み合わせて力感覚通信システムを構築し、力感覚通信の基本的な問題点を解明した。力感覚は相手とのお互いの運動の干渉効果として発生するものであり、通信のデバイスの操作に空間的な鏡像関係が出てくることを明らかにした。また、力感覚通信デバイスを相手の肉体の手と認識するか、または相手が操作している物体と認識するかのいずれかで、空間の鏡像関係が全く反転することを明らかにした。この認識の問題は、従来の音声および映像の通信には出現しない問題であり、力感覚が相手との運動を介した干渉効果で出現するものであり、コミュニケーションと認識の本質的な問題に関連することを明らかにした。また、力感覚を発生させるためには、通信デバイスを位置制御して拘束することにより反力を発生させる必要がある。このため、力情報のみならず位置情報も重要であることがあきらかとなり、ハイブリッド通信&制御が重要なことを明らかにした。力感覚の知覚メカニズムについては、力の変化率が非常に重要な要因であることを明らかにし、この変化率を小さくすると力の絶対値がかなり大きく変化しても、力の変化が認知できないことを明らかにした。最後に、本研究の主実験装置であるハプティックインタフェースに用いたインピーダンス制御を小型ヒューマノイドに適用し、人間的な柔らかさを有する小型ヒューマノイドを実現することができた。
すべて 2005
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Proceedings of 2005 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetis
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日本機械学会論文集(C編) 71巻・708号
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計測自動制御学会論文集 41巻・11号
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