研究概要 |
本研究は確実性の高い短期的課題と,今後数年をかけて次の研究を育てていくやや長期的課題とを組み合わせて取り組む.その長期的課題は「脳内時間コーディング」である.実験グループとの共同研究として,動物に時間計測をさせるという課題のデータから脳内時間コーディングに関する解析を行い,時間コーディングに関する端緒をつかんだ.現在のところ,実験動物の数,神経活動データ数などがまだ十分でないために,その結果の普遍性,再現性などの検証に,いますこしの時間が必要である.この,データ待ちの期間に,いくつかの仮説に基づいて時間計測ができるようなニューラルネットワーク・モデルを吟味した.現在はそのモデルの現実性を議論できるようなレベルに発展させている.短期的課題は,細胞発火のダイナミクスの定性的定量的理解のための実証的な研究である.京都大学医学部に大学院生を派遣して行った細胞通電実験のデータを定量的に再現し,スパイク発生タイミングを予測できるモデルの選択に取り組んできた.予測のために用いた数理モデルとしてはこれまでホジキン・ハクスリーのシングルコンパートメントモデルにいくつかのイオンチャンネルを付加したモデルを用いて来たが,現在は,より単純な準線形モデルがデータの再現や,予測をよりよく行うことができることを確認した.,現実のスパイク特性の研究は大幅に進み,大々的にデータを収集してスパイク特性脳地図を作成するプロジェクトを立ち上げた.
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