本年度は、これまで使用してきた成長会計やDEAの手法をベースにした新たな分析手法を開発し、それを「情報装備(ストック)」のデータに適用して、産業別の情報装備ストックと経済的アウトプットとの関係を分析した。そしてその結果を評価した上で、ICTの導入が産業別、年代別にどのような経済的効果を与えているのかを定量的に示すとともに、その背景を経済動向やICTの進化などを考慮に入れつつ検討した。また企業の経営改革の実態とICTの導入への姿勢を把握するために、企業への取材調査のやり方について検討を進めた。また「情報サービス業」の現状の検討をさらに進めて、ICTのディマンドサイドから見たICT導入の経済的効果の定量的分析結果と、ICTのサプライサイドの現状とその影響に関する分析との整合性についても検討した。具体的には、昨年度に作成したデータを用いて、わが国の情報サービス業の現状、特に費用構造をトランスログ型の長期費用関数を用いて解析した。これらの結果は、現在論文としてまとめつつある。 研究の分担は、廣松が研究全体の企画・総括、分析結果の評価、論文作成などを行い、小林は「情報装備ストック」データの整理とさらなる加工、生産性との関係を分析するためのモデルの開発と適用、取材調査の設計、論文作成などを行った。
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