本年度は、平成16年度以来構築してきたデータベースに基づいて作成した産業別の「情報装備ストック」のデータをベースにして、ICT導入の経済的効果に関して定量的な分析を行った。そしてその結果を統計的に評価した上で、ICTの導入が産業別、年代別にどのような経済的効果を持ってきたかを、マクロ経済の動向やICT技術の進化も考慮に入れながら検討した。また平成17年度から開始したICTのサプライサイドである「情報サービス業」の現状分析を継続して行い、その結果と上記のICTのデマンドサイドから見た経済的効果の定量的分析結果とを比較検討し、日本のICT導入に関するサプライサイドとデマンドサイドの特徴を明らかにした。 これらの研究の成果は、International Telecommumication Society(国際電気通信学会)のヨーロッパ地域コンフェランスおよび日本経営情報学会の研究発表大会で報告するとともに、3本の論文にまとめて公表した。そのうちの1本は日本経営情報学会の学会誌へ投稿し、現在、査読中である。 研究の分担は、廣松が研究全体の企画・総括、分析結果の評価、小林と共同で論文作成などを行い、小林はデータの収集・整備、ICTの経済的効果を検証するためのモデルの開発、「情報サービス業」の現状把握を行うための統計処理、廣松と共同で論文作成などを行った。
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