研究課題/領域番号 |
16300079
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
小沢 一雅 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (40076823)
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研究分担者 |
猪原 正守 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (40184791)
加藤 常員 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (50202015)
福永 伸哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
北條 芳隆 東海大学, 文学部, 教授 (10243693)
岸本 直文 大阪市立大学, 文学研究科, 助教授 (80234219)
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キーワード | 歴史情報システム / 前方後円墳 / 考古学 / ネットワーク / 墳丘形態 / 親縁性 / 地域性 |
研究概要 |
平成18年度は、前年度までに行った研究、すなわち墳丘計測システムの機能改善と機能拡張の成果を活用して型式座標図上で全国の前方後円墳相互の親縁関係を考察した。とくに、九州地区における前期古墳、日本海側(京都府)、および関東地区における前期古墳における親縁関係を中心に定量的な分析を行った。前年度より宮崎県西都原古墳群中の多くを占める「胴長」タイプの前方後円墳が著しい特異性を示すことが問題となっていたが、この特異性については西都原地区固有のものであるとの貴重な知見を得た。一方、西都原地区にみられる「短胴」タイプの前期古墳については関東地区、とくに千葉県の白山神社古墳との強い形態的親縁関係が検知された。この結果をうけて、千葉県の内房地区に分布する白山神社古墳をはじめとする古墳群の実地見分を目的とした調査研究を行った。 墳形の平面企画に関する親縁性の分析に加えて、墳丘の立体企画(墳丘の高さや段築の比率など)の分析も前年度までに引き続いて実施した。立体企画に関する研究は主として統計的手法に依拠しているが、たとえば後円部径の計測値が得られればただちに後円部高を予測できる信頼度の高い単回帰式をすでに導いている。また前年度までの段築に関する分析では、多くの前方後円墳の後円部において段比率が1:1:3(下段:中段:上段)となっていることが判明している。本年度、段築比についてさらに詳細な分析を行った結果、いくつかの古墳(とくに巨大な古墳としては仁徳陵)において、従来墳丘の外郭線と考えられてきた等高線(コンター)が実は外郭線ではなく、真の外郭線は周濠中に水没している可能性が高いという驚くべき結果が得られた。巨大な仁徳陵もこの例であるが、従来から定説になっている墳丘長486mが外郭線ではない水際コンターによる計測結果に過ぎないという可能性がでてきたのである。水没しているコンターを復元的に計測した場合、おそらく墳丘長は500mを超えるものとみられる。一方、段築比という視点で見たときの親縁性についても全国規模で比較検討を行い、前方後円墳ネットワークの導出にかかわる重要な特性としてあつかうべきことが判明した。
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