研究概要 |
高次脳機能,言語処理における意味プライミング・反復プライミングを対象とし,心理実験の構築,実験系の物理的構築,各種実験条件の設定など,基本実験環境のハードウェア・ソフトウェアの整備を行った.具体的な項目は以下のとおりである. 1)心理実験の構築 カテゴリー判別課題の言語処理実験のために.まず,17カテゴリー,320個の単語リストを作成した.これらの単語をプライム・ターゲットとして,その選別・提示時間・提示間隔などを適切に設定し,意味プライミング・反復プライミングの心理実験と脳磁界計測実験を行った.これらの成果は,NeuroReport誌での論文発表,Biomag2004での国際会議発表を行った.また,NCNP誌に投稿した論文はマイナーな条件付採録となった. 2)実験系の物理的構築 視覚刺激・聴覚刺激ともに,そのコンテンツはディジタル素材であり,ビデオ提示クロック・サンプリングクロックに同期して,被験者に提示される.本研究は,刺激を符号変調するため,これらのクロックに同期した脳波計測が必要になる.このため,外部クロックに同期する40ch同時AD変換器とオシロスコープを購入し,各種外部機器との同期をとる実験系を構築した. 3)各種実験条件の設定 a)刺激の種類に同期した加算平均を行う従来的な脳波計測,b)刺激の符号変調を行って相関処理を行った後加算平均を行う脳波計測,c)刺激の符号変調を行って相関処理を行ったシングルショットの脳波計測を行った.この結果,高次脳機能特有の反応は,a)とb)については問題なく確認でき,c)については70%程度の抽出率であった.
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