研究課題
基盤研究(B)
本研究では、集団内の遺伝的変異と分子進化の階層モデルを通して、極限状態に置かれた微小生物の隠れた適応進化の様相を浮き彫りにすることを目的とした。まず、HIV-1ウイルスgp120の配列レベルでの多様化が宿主細胞の受容体との結合に関与するV3ループの微細構造の変化を促しているか、調査した。タンパク質の構造データベースの情報を利用して、アミノ酸配列のタンパク質立体構造に対する適応度を経験尤度で表現し、V3ループの微細構造の変化の度合いを間接推定した。その結果、分子進化速度の大きな集団ほど、感染後構造の変化をもたらしていることが推察された。さらに、二つのタンパク質の複合体の結合能を、結合状態におけるアミノ酸配列の尤度と自由状態における尤度を比較した対数尤度比で表現した。これを抗原・抗体の結合に適用し、インフルエンザHAの1968年における大流行以降の長期的な免疫適応を推測した。ウイルスゲノムの組換えは多様度を格段に高めることから、集団の適応において重要な役割を担うと信じられている。系統樹の形(トポロジー)が決まると、配列の尤度がマルコフ過程の推移確率の関数として記述される。組換えは、ゲノムの領域間でのトポロジーの食い違いとして検出される。そこで、トポロジー間の組換え距離を計算するアルゴリズムを開発し、隣接領域間の組換え距離に事前分布を導入する階層ベイズモデルを構築した。この方法により、組換えの位置とパターンを同時推定することが可能となった。統計モデルの開発とともに、モデルの妥当性の評価を行う手法の開発に力を注いだ。系統間の独立性を直交性に変換するベクトル空間を構築し、統計モデルを通して推定された遺伝子配列間の進化距離から、遺伝子配列をこの空間にマッピングする方法を開発した。
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