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2006 年度 実績報告書

神経結合の特異性はどのように決まるのか?-単一細胞ジーンチップによるアプローチ-

研究課題

研究課題/領域番号 16300097
研究機関東京大学

研究代表者

能瀬 聡直  東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (30260037)

研究分担者 高須 悦子  東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (30282718)
キーワードマイクロアレイ / 標的認識 / 軸索誘導 / シナプス形成 / ショウジョウバエ / 神経筋結合 / 筋肉 / 神経回路形成
研究概要

本研究の目的は、神経軸索が標的領域に達した後、いかにして特定の細胞を標的として認識するのかを明らかにすることである。昨年度までの計画において、ジーンチップを用い、ショウジョウバエの異なる運動神経細胞RP1及びRP5によりそれぞれ支配されている隣り合った二つの筋肉、M13及びM12間で発現差異のある遺伝子を網羅的に同定することに成功した。さらに、筋肉全体での強制発現により、本来M13で発現する6つの遺伝子について、その異所発現がRP5のシナプス形成を特異的に阻害することを見いだした。このことは、これら遺伝子が通常M13に発現し、M12を支配する運動神経RP5に対し、阻害的あるいは反発的な作用をし、シナプスを形成させないように働いている可能性を示唆するものである。この可能性をさらに検証するため、本年度はこれら遺伝子の機能欠失の影響の解析を試みた。このため、既存のミュータントや二重鎖RNA干渉法を用いた解析を行い、Wnt4とsulfataseについて運動神経走行異常の表現系を見いだした。特にWnt4の表現系が興味深かったので詳細な解析を進めた。Wnt4はWNTファミリーに属する分泌蛋白質WNT4である。WNTファミリーは最近軸索誘導に関与することが示されている。Wnt4の機能欠失体では、本来M12のみを支配するべき運動神経RP5がM13ともシナプス結合していた。この結果から、RP5は本来M12、M13どちらともシナプス形成できるが、M13上のWnt4から阻害的な働きかけを受けることにより、M13を避け、M12とのみ結合するようになると考えられる。上記の機能獲得型の表現系とあわせ、Wnt4は阻害的な働きを通じ標的特性決定に関わることが強く示唆された。さらに、このWnt4の効果を感知する運動神経側での受容体として、Frizzled2とderailed2を、また細胞内でそのシグナル伝達に関わる分子として、Dishevelledを同定した。以上の結果は、阻害分子の働きを介した消去法的な選択により、シナプス結合の特異性が決定されることを示す初めての例である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Synaptic components necessary for retrograde signaling triggered by calcium/calmodulin-dependent protein kinase II during synaptogenesis.2007

    • 著者名/発表者名
      風間北斗, 野瀬聡直, 森本(谷藤)高子
    • 雑誌名

      Neuroscience 145

      ページ: 1007-15

  • [雑誌論文] Activity-dependent regulation of synaptic size in Drosophila neuromuscular junctions.2006

    • 著者名/発表者名
      中山浩明, 風間北斗, 野瀬聡直, 森本(谷藤)高子
    • 雑誌名

      Journal of Neurobiology 66

      ページ: 929-939

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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