研究課題
基盤研究(B)
本研究では小脳プルキンエ細胞における三量体Gタンパク質Gi/oシグナルの機能を個体レベルで明らかにするため、2種の遺伝子操作マウスを作成した。第一にGi/oを介するシグナル伝達を特異的に抑制するために、プルキンエ細胞特異的に百日咳毒素(PTX)を発現するトランスジェニックマウス(Tg)を作製した。さらに、プルキンエ細胞で非常に強く発現しGi/oのGTPase活性を上昇させるRGS8のノックアウトマウス(KO)(Gi/oの活性化状態が野生型と比べ長く続くと考えられる)の作成・解析を行った。プルキンエ細胞特異的にPTXを発現するベクター(L7-PTX)を用い2匹のTgを得た。1匹のTgは、外見上の異常は認められないものの、活動量が減少しているように観察され、7週齢の時点で死亡したが、小脳特異的なPTX mRNA発現が確認された。一方、他方のTgは交配したが、仔マウスにTgは得られなかった。以上の結果より、L7-PTX TgはPTXの発現により、致死的な影響を受けているものと考えられた。そこで、テトラサイクリンによってPTXの発現の制御が可能なベクターを構築した。また、RGS8遺伝子座にloxP配列とFRT配列に挟まれたネオマイシン耐性遺伝子を導入したマウスをジーンターゲッティング法により作成した。さらにloxP配列で挟まれたエキソン4,5をCreにより欠損させたKOマウスを作成した。RGS8KOはrotarod試験による運動協調能、オープンフィールドテストでの自発運動量、体重に変化は見られなかったが、直腸温がコントロールマウスと比較し有意に減少していた。さらに、GABA_B受容体のアゴニストbaclofen投与で誘導される体温低下がKOでは亢進し、RGS8によるGABA_B受容体の活性制御が体温調節に関与していることが明らかとなった。
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