研究課題/領域番号 |
16300100
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
椛 秀人 高知大学, 医学部, 教授 (50136371)
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研究分担者 |
奥谷 文乃 高知大学, 医学部, 助教授 (10194490)
村本 和世 高知大学, 医学部, 助手 (10301798)
谷口 睦男 高知大学, 医学部, 助手 (10304677)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | フェロモン / 匂い / 記憶 / 学習 / プロテインフォスファターゼ / オキシトシン / 長期増強 / 鋤鼻受容体 |
研究概要 |
申請者らが解析してきた匂いの記憶学習系を用いて、記憶痕跡の動的変化の分子メカニズムの解析を行い、下記の成果を得た。 1.プロテインフォスファターゼ1(PP1)はCREBを脱リン酸化し、記憶の消去に関わることが知られている。そこで、匂いの嫌悪学習の永続性におけるPP1の選択的阻害薬であるinhibitor-2の嗅球への注入の影響を検討した。匂いと電撃の対提示トレーニング後にinhibitor-2を嗅球へ注入すると、記憶の持続時間が有意に延長することを認め、匂いの嫌悪学習の消去にPP1が関わることを明らかにした。 2.ピストンの脱アセチル化酵素histon deacetylaseの阻害剤である酪酸ナトリウムを匂いと電撃の対提示時に嗅球へ投与することによって学習が促進されるかを検討した。酪酸ナトリウムの嗅球内投与によって匂いの嫌悪学習の保持時間が有意に延長することを認め、ピストンのアセチル化が匂いの嫌悪学習に関わることを明らかにした。 3.ノルアドレナリンは学習を成立させるが、嗜好か嫌悪かの決定には関わらないことを明らかにした。 4.オキシトシンは副嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達に長期増強(LTP)を誘導することを明らかにした。 5.鋤鼻ニューロンにおける鋤鼻受容体のV2Rファミリーに属するVR1及びVR4の発現量は、副嗅球ニューロンとの共培養から7〜14日目にかけて有意に上昇し、その後プラトーに達した。また、受容体発現量の経時的な変化と一致して鋤鼻ニューロンは尿に対する応答性を獲得した。これらの結果は、鋤鼻ニューロンの鋤鼻受容体発現と機能性獲得がその投射の標的である副嗅球ニューロンによって制御されることを示唆している。
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